R8.7.3 東障がい者フレンドホーム
「その会議、ほんとうに本人中心ですか?」
5月1日のアセスメントに引き続き、福祉サービスを利用するご本人をお迎えして実施した担当者会議のリアルを見ていただくこの企画・・・
ある意味自分の首を絞める無謀な企画・・・
しかし、このような機会はなかなか持つことができない。自分のやっている担当者会議を客観的に見ていただき、また、私も本来あるべき担当者会議の視点からじっくり振り返ることはとても意味のある時間となった。
おおまかな流れとしては、会全体の時間設定もあり、各支援者からのサービス提供の状況については、事前に聞き取りをしていたものを文章化して共有しておいた上で、本人の思い、心配事について、支援者の役割という視点から協議するという内容で進めていった。
『会議は、順調に進み、無事に終わることができた』
ように思えた・・・
しかし、私には、本人中心ということの『ほんとう』をわかっていなかった。
協議の具体的な中身としては、大きな課題としてあえて取り上げるものはないが、熟年と言われる年齢になりこの先いつまでこの生活を続けることができるのか漠然とした不安があるというものだった。
このことについて、本人からの思いの発信をスタートに、各支援者からの提供できるサポート(役割)をそれぞれ提案していただき、その一つ一つに本人の確認を取りながら進めていった。本人も安心して会に参加していただき、今後の不安はあるものの、支援者のサポートを得ながら今後もできる範囲で今の生活を続けていきたいと思っていただいた。まあ、いわゆる『きれいに』まとまった・・・と思えた。
そして、今、この報告を書いている。会議の記録は録音していたので、この会議記録を読み込ませ、『本人中心の担当者会議になっているのか?』をAIに問うたところ次のような返答が返ってきた。
✅ 本人の語りが一定程度引き出されている
✅ 本人の意向を一定程度確認している
✅ 本人が会議を肯定的に評価している
一方、
❌ 本人への確認が後追い・形式的になっている場面がある
- 支援者(訪問看護・ヘルパー)が次々と現状報告や提案を述べた後に、田中氏が「本人、どうですか?」と確認する構造が繰り返されている。
- これは「支援者が主語」の進行であり、**本人が主語の会議とは言いがたい**。本人中心であれば、まず本人が話し、支援者がそれに応じる順序が基本となる。
❌ 本人の発言が遮られ・代弁される場面がある
- 田中氏が本人の言葉を途中で引き取り、まとめ・代弁する場面が複数回見られる(例:「右に麻痺があるんですよね」「無理するからその辺に痛みが出たりとかあるんですよね」など)。
- 本人が自分の言葉で語り切る前に支援者が言語化してしまうことは、**本人の自己表現の機会を奪うリスク**がある。
❌ 本人の「強み・できていること」への着目が弱い
- 会議全体を通じて、課題・心配・将来への不安が議論の中心となっており、**本人が大切にしていること、できていること、誇りに思っていることへの着目が不十分**である。
- 「仕事を最優先にしながら生活を維持している」という非常に大きな強みが、深く称えられることなく話題が進んでいる。
❌ 本人の「夢・希望・将来像」が十分に引き出されていない
- 「もっと先の楽しい話」と田中氏が振ったが、本人が「今でいっぱいいっぱい」と答えると即座に「じゃあ今日は考えなくていい」と切り上げている。
- 本人中心計画の核心は**本人が望む生活像・人生の目標**を描くことであり、「いっぱいいっぱいだから考えなくていい」では、本人の希望像が会議の中に残らない。短くても「こんな生活が続けられたら嬉しい」という言葉を引き出す努力が必要だった。
❌ 「やめたい」という重要な発言への掘り下げが不十分
- 本人が「(仕事を)やめたいとポロっとおっしゃった」という重大な発言が話題に上がったが、田中氏が「その心配はやっぱりあるんですよね」と確認するにとどまり、**本人の本音・葛藤が丁寧に掘り下げられなかった**。
- 仕事は本人のアイデンティティの核であり、ここに十分な時間を割くべきだった。
❌ 会議の目標・合意事項が曖昧なまま終了している
- 会議の終わりに「ホワイトボードに書いてある」と言及されるが、**本人とともに「今日決まったこと・次のステップ」を声に出して確認するプロセスが省かれている**。
打ちひしがれた・・・
でも、言われていることは十分にうなずける。特に、「強み」「希望」のくだりは、まったく意識さえもできていなかった。課題を取り扱うばかりでは、明日から(この会議を経て)、「よし、がんばろう!」とはならない・・・当然のことさえも抜けている…
参加者からの質疑の際にある方がおっしゃった。
「田中さんの雰囲気で進んでいる」
このことばは、好意的におっしゃっていただいたと思っていたが、 ここに大きな落とし穴があった。私自身、「人に見られる」「公開する」「失敗できない」などの意識が働き、突発的なことが起きないよう、無意識的に私自身の思う方向に寄せていこうとする意図・言動を見透かされていたという解釈に変わった。
かたち上は、『きれいに』進んだ担当者会議のように見えた。しかし、『本当の本人中心』とはまだまだ遠い会議進行であったと私自身のとらえ方を大転換しないとこの先危ない・・・と気づくことができた。
かたちにとらわれることなく(もちろんだいじにしなくていいということではなく)、それよりももっと優先すべき『本人中心』の本当に意味を最優先にして、担当者会議、並びに相談支援全体に関わっていこうと思う。
いまさらながら・・・と言われるかもしれないが、このことに立ち止まって気づく機会を与えてくださった、本人を始めとするリアル担当者会議に参加してくださった方、そして、金曜日の業務後のお時間を割いて集まってくださった参加者のみなさんにただただ感謝いたします。
ぜひ皆様のご参加お待ちしております。