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KYOUKOU(強度行動障害がい勉強会)第8回報告

勉強会に参加した新郷さんがまとめてくだいました(^^)/

(印刷用PDFファイル) 


 急に寒くなりましたが(ある意味正しい冬?)皆さまどうお過ごしでしょうか。
 前回に引き続き報告を担当します新郷です。
私はといえば、3連休で研修を受けてから、いまいひとつ疲れが抜けず、不調な日々が続いています。研修自体は、大変刺激を受けたのですがね。良い疲れですが中々抜けてくれません(笑)
 
さて、今回第8回の研修では、前回でのアンケート結果を踏まえ、初となる事例検討を行いました。対象者は、障がい者行動支援センター「か~む」に入居中のAさんです。
 



 ● 第8回の概要
 ・日時 1月10日(火) 19時~20時30分
 ・場所 あすみん
 ・内容 事例検討
   
① AさんのVTR視聴、フェイスシート及びか~む職員による、Aさんの現在の説明
② 説明を受けてのAさんに関しての質疑応答(回答者 か~む職員渕上さん)
③ 森口さん(か~む所長)によるスーパーバイズ

※ フェイスシート…家族構成や、障害の診断名等、「この人はどんな人か」の基本的な部分を記載したシートです。
※ スーパーバイズ…援助者が、経験豊かな援助者に支援のアドバイスを受けること
 



さて、「事例検討」とはどのようなものなのでしょうか?
 
Weblio辞書:介護用語集によると、次のように記述されていました。
 

事例検討会(ケースカンファレンス) 
事例検討会。介護サービスを提供している過程において、サービスに携わっている人が集まり利用者の状態の変化新し課題問題点などがないか、適切な介護サービスが提供されているかどうかについてなど、実際にあった事例用いて検討する会議です。必要であればケアプラン(支援計画)などの再検討行います。
 
 
 事例検討には、様々なやり方がありますが、今回はか~む入居者のAさんの事例を基に、グループで話し合い、具体的な改善策を探していく方法をとりました。
初回である今回は、「Aさんの理解を深める」ために、か~む職員への質疑応答を行い、「Aさんはどういう人か?」を探っていくことから始めました。
具体的な支援や改善策については、次回以降話し合い、深めていく予定です。
 



 今回、方法として「事例検討」を取り上げたのは、その必要性の高さに注目したからでした。その意義が的確に説明された記述をみつけたので引用します。
 

【事例検討の意義】
引用:平成22年度公開研究会第二部 「フォーラムのまとめ」
心理的支援のための事例検討会の意義と方法
山喜 高秀(志學館大学大学院心理臨床学研究科教授)

 
 私たちは、対人援助職という、人に対して何か援助を行う仕事を選びました。これをサービス職業と言います。この生業(なりわい)には、事例(ケース)検討が不可欠ですが、通常の事例検討は、「この人の便を弄ぶ行為をどうやめさせるのか」とか、「この人の暴言・暴力をどう止めさせるのか」といったようなことが話題になります。いわゆる問題行動に対する対処ということですね。

 ところが、ここで問題行動の捉え違えが起こってくると、何のための事例検討かが分からなくなってくるのです。援助を受ける方にとっての問題(困りごと)と、援助する私たちが抱えている問題にズレが起こりがちだということです。先の例で言うと、「便を弄ぶ」行為に困っているのは周囲の援助する側で、当事者は「何か他の困りごとの結果」その行為に至っているとすれば、その行為を制止するだけでは本人は楽にならないことになります。暴言や暴行についても同様です。その行為を通して、「何を訴え求めているのか」ということにたどり着かなければ、本当の事例検討にはならないということです。

 私たち対人援助職に就く者にとって本当の「困りごと」というのは、サービスを提供する側が、サービスを受ける方が本当に訴え求めていることが分からなくなる事態のことなのです。さらに言えば、我々がサービスと思って行っている行為が、本当に相手のためになっているのかどうなのかさえも分からない事態のことなのです。利用者のパニックは、実は私たちのこの困りごとの結果によって引き起こされている場合も少なくありません。たとえば、パニックを収めるつもりでタイムアウト(刺激を少なくして、1人ぼっちにさせる)すると、かえってこちら側への敵意を増長させる場合がよくありますね。そうすると、たちまち自分がやっていることがどのような意味を持つのか分からなくなります。こういった時に、事例検討会というのをするわけです。

 何のために?相手の求めていることが分かるために、そして自分達のやっていることが分かるために、検討会をやるわけです。事例検討とは、この困りごとについて、いろいろな観点(身体、心理、生活)から、いろいろな立場(医療、心理、福祉)から、複数の援助者が考えを持ち寄って、その人に合った援助のための方針を立てていくことなのです。

 やっぱり介護という行為は、冒頭でもお話したように、総合的な力が問われる人の営みだと思います。野添先生から良い知恵を聞いて、「ああ、そういうことだったのか」と「腑に落として」いくこと、それをみんなで分かち合っていくことなのだということです。
  


 

 ① AさんのVTR視聴 Aさんの現在の説明


 まずは、Aさんの施設での生活の様子について、来所した直後から現在に至るまで、食事や入浴など、生活上のいくつかの場面をVTRで視聴しました。

 映像の中で、わずかな人とのかかわりの刺激でも、大きな不安となり噛みついたり叫び声をあげたりする行為を見せるAさんの姿。その一方で、支援員の全介助を受けなければ、行動することができない、Aさんの現状が映し出されていました。
 


 

 ② Aさんに関しての質疑応答(回答者 か~む職員)

 
 次に、か~む職員渕上さんから提示されたAさんのフェイスシートについて簡単に説明をしてもらった後、参加者から本人理解につながる質問を受け、渕上さんに返答してもらうという形で質疑応答を行いました。 


 Aさんの基本情報として提示された主な内容は以下の通りです。
 
 ・広汎性発達障がい(自閉傾向)知的障がい
 ・身辺的な能力は自立可能なレベル しかし、現在は全介助を要する。
 ・夜間と週末をか~むで過ごし、日中は学校登校
 ・現在、行動問題が起きやすいのは、余暇→風呂や作業→余暇などの切り替えの場面


 
 さて、質疑応答にあたって、進行役から少し条件提示が行われました。
 
 ア、一度の質問で、できる限り多くの情報を引き出す質問となるようこころがけること
 イ、他者が一度やった質問を繰り返さないこと
 ウ、回答者は、聞かれたことだけに返答すること

 
 この条件提示は、他者とコミュニケーションをとる際、「質問力」として意識しておきたいポイントとして説明されました。
 ・まわりの人が、なにを尋ねているのか?
 ・その質問が、本人理解にどうつながっているのか?
 ・与えられた貴重な質問の場で、相手からいかに多くの情報を引き出すか?

 
などについて意識しておくことを重視した質疑応答となりました。
 



  質疑応答で、具体的に明らかにされた本人理解の視点としては、次のような項目でした。
 
 ・Aさんの成育歴について(行動問題が生じていた時期に触れて)
 ・Aさんの行動問題
 ・Aさんの服薬状況について
 ・Aさんが現在、一番気持ちよく過ごせてる時間はどんな時間帯だと思うか?
 ・か~むを出るときはどういう状態を目指すのか?
  
 これらの質問のポイントを振り返ったとき、やはり本人を理解する「アセスメント」の重要性が改めて浮き彫りになりました。家族の状況や、行動問題を生じるようになった背景、睡眠を含めた心身の状態、服薬等の医療情報と医療との連携、本人が興味をもつ活動などの強み、などなど大切な視点がたくさん気づきとして得られました。
 
 この中で最も重要だと考えさせられたのは、本人支援の組み立てを考える際によりどころとする『見立て』でした。「この行動問題を生じさせているのはこういう理由からだ。だから、この部分を工夫すれば、本人も困らないのではないか」という見立てを持つことができれば、本人を望ましい方向に導いていく支援が決まるのだと改めて認識を深めました。
 


 

 ③ 森口さん(か~む所長)によるスーパーバイズ

 
 今回のスーパーバイズでは、森口さんの経験に基づき、なぜ事例検討を行うのかを考える視点について助言を得ることができました。
 
※右図参照


●事例検討を行う意義
 
 ・事例検討を行うことで、支援を客観性のあるものにし、支援方法の見直しを行うことができる。
 ・支援とは、本人の望む生活を送るために生じている課題・ニーズに対して、行われるものである。
 ・知的障がいのある方においては、障がい故に本人の望むことが、推測になることも踏まえる必要がある。
・そのうえで、何故上手くいかないのかを考える。何故上手くいかないのかを探るためにも、現状を細かく、具体的にイメージできる必要がある。 



 ●事例検討を行う上では

 ・本人の望む生活を知る
 ・何故望む生活が達成できないのか、阻んでいる要因は何なのかを詳しく分析する。また利用者像に関するイメージを深め、チームでの共通理解を持つ。
の2ステップを踏む。



 ●利用者の未来を見据える 
 ・現場支援においては、時に目の前のことに集中しすぎて日々の業務をこなすだけになってしまいがちになる。
 ・しかし、支援とは、に行うものである
 ・事例検討等を通して、第三者の目線も入れつつ、何故支援を行うのか、この人の望む生活に定期的に立ち戻る必要がある。


 
 ●共通理解を得る 
 ・支援をする際には、各支援員の価値観に基づく支援が、時にその人にとって悪い作用に働くことがある。
 ・だからこそ、チームでの共通した方針を持つ必要がある。
 その人は、どんな人で、どんな強みがあり、どんな目標をもっているのか?
 そういう理解あってこそ、良い支援をチームで展開することができる。
 



 第8回KYOUKOUに参加して(新郷)
 
 KYOUKOU第8回では、事例検討を行いつつ、様々な視点からA氏について、どんな人物なのか、ということを深めていきました。
 その人個人を理解するには、合わせて周囲を理解する必要があります。極端な物言いですが、環境との関わりがなければ、人の行動は生起しないと思います。その人が、おかれている環境の中で、どんな不適応があり、どんな時が楽しい場所なのか。成育史の理解も欠かせないな、と思いました。どんな出来事をきっかけに、こういう状況になったのか、それを掴むきっかけになるのだなと思います。
 そしてそれを掘り下げる力。それもまた欠かせないのだと思います。どうしても、踏み込んだことを聞かなければいけない時もありますよね。その人の理解のため、踏み込んでいかないといけないのですね。関わるのなら、踏み込む勇気をもって、しっかりとその人に関わろうと考え直した、勉強会でした!!
 



 次回日程については、後日連絡があります。事例理解のために、何やら計画中のよう…連絡をお待ちください。
まだまだ寒さは続きます。体調にお気を付けください。(おわり)

 
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 合同会社サンクスシェア 2016年4月4日 創立