KYOUKOU(強度行動障がい勉強会)第44回を開催しました。
今回は、ふわわ株式会社で「ラクダのたまご」などの事業を展開されている西山さんを講師にお迎えし、強度行動障がいのある方の地域での暮らしを支える取り組みについてお話しいただきました。
旅行業を長年営んでこられた西山さんが、なぜ福祉の世界に入り、強度行動障がいのある方の支援に取り組むようになったのか。そして、実際にどのような工夫をしながら、支援が難しいとされてきた方々の暮らしを支えているのか。
具体的な事例を交えながら、たくさんのお話を伺うことができました。
日時: 【R8.10.24(土)13時~15時】(情報交流:15時~16時半)
会場: 【四季のいろ】
講師: ふわわ株式会社 西山 貴嗣さん
参加人数:
会場参加 【18】名
Zoom参加 【17】名
交流会参加 【18】名
西山さんは、もともと旅行会社を経営されており、福祉とは異なる分野で長く活動されてきました。
福祉事業を始められた背景には、ご自身の経験や、福祉関係者との出会いがあったそうです。
グループホームや生活介護事業所を開設する中で出会ったのが、強度行動障がいがあり、受け入れてくれる暮らしの場が見つからず、ご家族も大変な思いをされている方々でした。
「どうにかならないだろうか」
その思いから、他の事業所の取り組みを学び、シェアハウスと重度訪問介護を組み合わせた支援の仕組みをつくってこられました。
現在は「ラクダのたまごを中心に、一人ひとりの生活の場を確保しながら、24時間365日の支援に取り組まれています。
支援が難しいから受け入れられない、ではなく、どうすれば受け入れられるのかを考え、実際に形にしていく。
その行動力と発想の柔軟さに、まず驚かされました。
今回のお話で特に印象に残ったのは、本人の行動を丁寧に観察し、その意味を探り続けるという姿勢でした。
自傷や他害、物を壊すといった行動がある方について、何が起こったのかだけでなく、その前に何があり、その後どうなったのかを記録する。
さらに、行動が起きやすい時間帯や状況を分析し、支援方法を検討していく。
言葉で自分の思いを伝えることが難しい方については、顎を触る、手を叩く、視線を向けるといった小さな動きから、本人が何を伝えようとしているのかを探っておられました。
そして、そこで見つけた気づきを支援者同士で共有し、誰が関わっても本人の思いを受け止められるようにしていく。
「本人の言葉を見つけて共有する」
この取り組みは、強度行動障がいのある方への支援において、とても大切な視点だと感じました。
紹介いただいた事例の中には、見通しが立たないことや、待つことが難しい方への支援もありました。
一般的には、スケジュールを視覚的に示すことが有効とされていますが、見せる内容やタイミングによっては、かえって本人の不安を大きくしてしまうこともあるそうです。
食事のカードを見せるタイミングを工夫したり、楽しみにしている外出を事前に伝えすぎないようにしたり。
また、ご家族との面会についても、本人が安心して過ごせるよう、会う場所や別れ方を工夫されていました。
支援の方法に本人を合わせるのではなく、本人の特性や生活の様子に合わせて支援の方法を変えていく。
そのために、実際にやってみて、記録し、うまくいかなければまた考える。
一つひとつの取り組みから、本人のことを理解しようとする姿勢が伝わってきました。
西山さんが大切にされている考え方として紹介されたのが、「ノーマライゼーションプラス」という言葉でした。
安心して生活できることはもちろん大切ですが、それだけで終わるのではなく、その先にある人生の楽しみも大切にしたいという考え方です。
温泉に行く、外食をする、旅行に出かける、山に登る、海に行く。
私たちにとっては何気ない日常の楽しみも、強度行動障がいがあることで、なかなか経験する機会が得られなかった方々がいます。
もちろん、外出先で不安定になることもあり、支援する側にとっても簡単なことではありません。
それでも、本人が楽しめるかもしれないという可能性を大切にし、挑戦されていました。
実際に温泉に出かけた際、これまで見たことのないような喜びの表情を見せてくれたという支援者の方のお話も、とても印象に残っています。
安心して暮らせる環境を整えることと、本人の生活の幅を広げていくこと。
一見すると両立が難しそうなこの二つを、どちらも諦めずに実践されていることに、大きな学びがありました。
一方で、西山さんは、支援を継続していくことの難しさについても率直にお話しくださいました。
支援者が増えれば増えるほど、情報の共有や支援の統一が難しくなります。
そこで、日々の記録を蓄積し、AIを活用して情報を整理したり、利用者ごとの支援チームをつくって支援者自身が考える仕組みを整えたりされています。
また、今後は支援者を育成する仕組みづくりにも取り組んでいきたいとのことでした。
特定の誰かだけができる支援ではなく、チームとして継続できる支援にしていくこと。
そして、支援者だけでなく、ご家族や地域の方々にも理解していただきながら、本人の暮らしを支えていくこと。
強度行動障がいのある方が地域で暮らし続けるためには、こうした仕組みづくりも欠かせないのだと、改めて考えさせられました。
今回のお話を伺いながら、何度も考えたのは、「私たちは本人の可能性をどこまで信じているだろうか」ということでした。
支援の難しさを知っているからこそ、危険を避けようとしたり、無理だと判断したりすることがあります。
もちろん、安全を守ることは大前提です。
しかし、そこで終わってしまうのではなく、どうすれば実現できるのか、どのような工夫があればできるのかを考え続けることも、支援者に求められているのだと思います。
西山さんのお話には、経営者としての視点と、現場で本人と向き合う支援者としての視点の両方がありました。
特に、支援が必要な方を一人受け入れることが、その方だけでなく、ご家族の暮らしを支えることにもつながっているというお話が心に残っています。
強度行動障がいのある方の支援は、決して一人の支援者、一つの事業所だけでできるものではありません。
だからこそ、こうした実践を知り、学び合い、それぞれの立場でできることを考えていくことが大切なのだと思います。
KYOUKOUも、そのような学びとつながりの場であり続けたいと思っています。
西山さん、貴重なお話を本当にありがとうございました。
そして、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
| 伴奏・併走の中で利用者本人が教えてくれることを大事にすること、親の役目は依命従行ではなく、共にチームの一員として認めてもらえること、本人が常に真ん中にいること、それを支援の中で普通事として行ってくださっていることに感銘を受けました。 福岡市にこんな方達が増えていってほしいと願います。 希望の持てるお話を有難うございました。 |
| 利用者ひとりひとりに向き合う支援方針がスゴイと思いました。 時間、日数をかけて個々のデータ収集を行い、仮説を立てて、様々な取り組みを重ねていく。 私が関わる利用者だったら?とか思いながら受講させていただきました。 |
| 貴重なお話をありがとうございました。強度行動障害という対応が難しい方々に対して、これまでの日々の取り組みや支援の方針に共感しながら拝聴いたしました。旅行会社でのユニークな企画なども旅行者にとってどれだけ楽しめるか、思い出に残るものになるのかが伝わり、こちらのお話も興味深いものでした。ありがとうございました。 本日は貴重なお話をありがとうございました。 |
| 「問題行動をどう止めるか」ではなく、「なぜその行動が起きているのか」を考えること、そして「失敗したら本人ではなく仕組みを見直す」という考え方が、とても印象に残りました。 私自身、強度行動障害のある息子の母親であり、障害福祉の支援に携わる立場でもあります。 日々の生活や支援の中では、本人の行動に目が向きがちですが、その背景にある思いや不安、環境との関係を丁寧に見ていくことの大切さを改めて感じました。 また、重度訪問介護と住まいを組み合わせ、地域で暮らし続けるための仕組みづくりに取り組まれていることにも、大きな希望を感じました。 「できない理由より、できる方法を考える」という姿勢を大切に、家族としても支援者としても、本人の可能性を狭めることなく、これからの暮らしを考えていきたいと思います。ありがとうございました。見学したいです! |
| 学びが深かったです。参加させて頂き、貴重な時間を過ごす事ができました。ありがとうございました。 |
お話の詳しい内容は、どうぞ動画全編をご覧ください。
(動画ハイライト編)
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